皆さんは「VR」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか? ヘッドマウントディスプレイを頭部に装着し、手にコントローラーを持って、仮想空間に入り込み、アバターと一体化して遊ぶ光景でしょうか。
実はそれ、もはや最先端ではないんです。もちろん、そういう遊びとしての活用例は現在も豊富にあり、増加・進化しつづけていますが、それだけにとどまりません。
たとえば、現実そっくりの仮想空間を作り上げて、その中で研修医やパイロット候補生、危険物取り扱い作業員がヘッドマウントディスプレイと触覚グローブを付けてトレーニングする、という使われ方があります。高価な機材を何台も用意しなくても、怪我やミスの心配なく、何度でも失敗できる空間で習熟や試行錯誤を実践している企業がいくつも登場しています。
では、「AR」と聞いて、何をイメージするでしょうか? スマホをかざして現実の光景に画像やイラストを重ね合わせて写真を撮ったり試着したりするアプリでしょうか。
やっぱり、それも少し古いんです。スマートグラスを装着して、作業手順や観光情報を現実に重ねて表示する、なんていうのは今や序の口。進化した活用例として、医療や介護の現場で患者情報や治療・看護の手順を現実の患者さんの身体に重ねて表示し、遠隔地にいる医師の指示や助言をリアルタイムで受けながら診断や手当てを行う、ということも可能なんです。
本記事を第1回として、「VR・AR・MR」の総称「XR」をテーマにした連載記事が始まります。このシリーズでは、XRに関する基礎知識と、日々進化するXRの最新情報をお届けします。XRは、どこまで進んでいるのか。どんなSF的未来が現実になっているのか。この連載記事を通して、そのワクワクを皆さんと共有できればと思っています。
かつてないほど先が見通しづらくなった世界では、仮想環境でのリスクゼロのシミュレーションや実験、ツールやデバイスによる人間能力の拡張、状況認識や構想ビジョンの寸分違わぬ共有が、これまで以上に重要性を増しています。XRは、エンターテインメントやコンテンツだけでなく、ビジネスツールとしても、そして世界を良くし、人々が暮らしやすくする手立てとしても、絶大なメリットをもたらします。本シリーズでは、非エンタメ系・実用系のXRについても業界別の導入事例や最新トレンドをレポートします。
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(記事作成日:2023年2月7日)
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