この「翻訳者が見た世界の半導体技術」シリーズでは、弊社の半導体翻訳担当スタッフが読んだ世界各地の半導体技術に関するニュースや記事、論文を短く要約してお届けします。翻訳するうえで欠かせない専門知識の拡充や調べ物、最新トレンドのキャッチアップなどを目的に、主に海外の英語情報を収集したものですが、半導体ビジネスにかかわるあらゆる皆さまに役立つものになれば幸いです。
目次
Toggle1原子厚の金の膜(goldene)の作成に成功
スウェーデンはリンショーピング大学(Linköping University)の研究チームが、1原子厚の金の膜(goldene)の作成にはじめて成功したというお話です。掲載誌はNature Synthesis。
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- 金で1原子厚の膜を作成し、グラフェン(1原子厚の炭素膜)になぞらえてgoldeneと名付けた(日本語表記で揉めそう)
- goldeneは金属ではなく半導体としての性質を示す
- goldeneの用途には水素の製造や二酸化炭素転換などがありそう
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なお、研究では村上試薬(東北大学)が重要な役割を担っているので、今後日本メディアで取り上げられるかもしれません。
「空気を利用した半導体のドーピング方法」を確立
MIT Newsより、摂氏500度もの高温下でも動作する半導体の開発に成功した、という話。
スウェーデンはリンショーピング大学(Linköping University)の研究チームが「空気を利用した半導体のドーピング方法」を確立した、というお話がNatureに公開されていました。以下、5行まとめです。
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- 半導体分野では、従来のシリコンベースに代わる有機物ベース(有機ELなど)の研究が盛ん
- 用途によって、有機物の特性(電子濃度)を調整するためにドーピング(不純物添加)が必須
- でも「不純物」は不安定・高い・製造が困難とハードルが高い
- 「光合成」を真似して特別な「塩類溶液」を光触媒として使うことで、従来は「非効率」とされてきた「酸素」を不純物として添加することに成功
- 塩類溶液は再利用可能で、プロセスで消費されるのは「空気中の酸素」だけなので、環境にやさしい
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