この業界に入って何社目になるでしょう。これまでにいくつも面接を受けてきました。ただ、そのどれも、新卒で入った会社の面接に比べれば大したことはありませんでした(庶務課、光留)。
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- 実際の業務内容もはっきりわからない会社に、
- 取り立てて実績もない状態で、
- 自らのポテンシャルやら人柄やらだけ頼りに売り込んでいく
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その苦労に比べれば、翻訳者として受ける面接のなんと簡単なことだろうか、と思うのです。
そもそも、大抵の会社では面接前にトライアルを課されるわけですから、実力面を大きく盛っても仕方ありません。面接に呼ばれた時点で、ある程度の実力は確認されているわけです。あとは、履歴書・経歴書といった書類に、その会社が今力を入れていそうな分野に絡んだ実績・学習歴をいくつか入れておく。コミュニケーション能力は、足を引っ張らない程度あればまぁ大丈夫でしょう。逆に、コミュニケーションがどれだけうまくいこうと、その会社の攻略に必要な武器を持っていないと、うまくいく見込みはぐっと小さくなります。
要は、武器の数とその習熟度の問題なのです。私たちはきっとこれからも、限られた時間のなかで武器を選び、深化していかなければならない。
さて、そこで問題になってくるのが武器の見つけ方、選び方でしょうか。銃で戦う時代に剣術を学ぶ意味が薄いように、市場価値を考慮することが大事なのはもちろんです。ただ、自分の適性を顧みずに選んでしまえば、その後の厳しい修行に耐えられないでしょう。
私の経験からすると、適性や才能というものは、知らず知らずに積み重ねていたものを見ていくと、見つけやすくなるような気がします。たとえば、私の場合、契約書の翻訳と医学翻訳とでは、契約書の翻訳の方が断然、伸びるスピードが早かったものです。別に法学部の出ではないのですが、思い返してみれば、法律絡みの本を大学時代に何冊も買って読んでいました。ゼロから何かを身につけるのと、既にある程度の蓄積があるのとでは、後者の方が伸びるに決まっています。コンピューターが好き、植物が好き、ゲームが好き、占いが好き・・・そうして過ごした時間の1つ1つが、みなさまの蓄積になっているはずです。武器を選ぶなら、そんな蓄積の延長線上にあるものがよい、そう思いませんでしょうか。
と、ここまで話をすれば、私がこれを買った理由もご理解いただけるものと思うのですが、いかがでしょう。
トンファーでございます。
いえ、昔空手をやっていましてね。これまでは徒手空拳一本だったのですが、そろそろ何か武器を学んでみたいと思った次第で。トンファーのいいところは、空手の動きのまま使えるという点です。違うのは有名なくるくる回して打つ動きくらいで、上げ受け、下段払いなど、防御の方は空手の動きそのままで、刃物に対応できます。
問題は、これを学んだところで実戦面で何一つメリットがないということでしょうか。これが棒術やなぎなたなら、町中でトラブルに巻き込まれたときに、何か似た形状のものを見つけて応用できるかもしれません。これに対してトンファーときたら。こんなT字の棒がどこに転がっていようか、というものです。
そう、選んだ武器の市場規模が小さい可能性もあるのです。
みなさまには、私の失敗を繰り返さないでいただきたい。私の屍を越えていっていただきたい。むしろ、トンファーを引き取っていただきたい。地味に邪魔なんですよ、これ。
投稿日:2016年1月25日 | 最終更新日:2023年10月26日