1日も早くコロナ禍が終息してまた海外旅行を楽しめる日が来ることを願って、去年の夏に初めて台湾を旅行したときのことを書きます。長いよ。

台湾にはずっと行きたいと思いながら、この歳までなかなか行くチャンスがなかった(台湾への思いを胸に秘めながらグアムには行った)。熱い気持ちが高じすぎて、我が家の本棚には台湾旅行コミックエッセイが何冊も並んでる。むさぼるように読んだ結果、奥さんも中1の娘ももう行った気のオーラが漂いかけていたけど、2019年の夏、ようやく意を決してネットで飛行機とホテルを予約。予約確認メールが届いた瞬間から、我が家は祭り状態で、出発前日はワクワクしすぎて眠れず、睡眠不足で当日を迎える。

 

1日目 8/2  2019

早朝5時に起床。眠い目をこすりながら家を出る。市バスの始発で最寄りの駅へ向かい、電車で関西国際空港へ。我が家は関空のわりと近くにあるので、こういうときは便利(大阪市内に出るには超不便)。空港に着いて、さらに連絡バスで第2ターミナルの国際線搭乗口へ行き、颯爽とPeachの機体に乗り込む。

あっという間に機上の人。隣の席でうちの奥さんが三色ペンを片手に『るるぶ』の食べたい料理の写真を親のかたきの勢いでグルグルグルグル囲っているのをウトウトしながら眺めている間に桃園国際空港に着陸。よその国の空港に降り立つといつも、異国情緒と緊張感にほどよく包まれて、とても良い。

無事に入国し、空港バス(大有巴士)に乗る。外国人は僕たちだけっぽい。少しドキドキしつつも1時間ほど景色をギョロギョロ見回している間にホテルの近くに到着。地図とにらめっこしながらスーツケースをコロコロし、無事にホテルを見つける。

カウンターで荷物を預けるやいなやバスで台北101へ。超暑い! そして腹が減ること山のごとしで、フードコートへ直行。台北101のフードコートは台湾っぽさもありつつ、見知らぬ町のイオン感もあり。それがまた良い。魯肉飯と小籠包と牡蠣オムレツと黒糖タピオカミルクティーとマンゴーかき氷を胃腸に送り込む。いずれもすごーく美味しくて、しばし動けない。

隣の国際貿易センターで「漫畫博覽會」をやっているのを見つけて突撃する。すごい人の波。娘がお目当てのアニメグッズを探してかけずり回り、長蛇の列に並ぶ。大小さまざまなブースが乱立している。台湾のマンガやアニメと日本のそれが半分半分くらいかな? 中央のスペースでは巨大スクリーンを前にeスポーツ大会が開催中。娘は大きめのぬいぐるみをゲットしてご満悦、親は疲労困憊。ぬいぐるみは旅行最終日に奥さんに真空パックに入れられてギュウギュウに踏んづけられてスーツケースに押し込められてた。

ホテル近くのスーパー的な店で台湾的な食料と台湾的なビールを買い込み、部屋で暴飲暴食の巻。奥さんはBTSの限定ボトルのドリンクを見つけて歓喜。幸せ気分で第1日目の幕は閉じるのであった。


台北101。そういえば展望台に行ってない。

 

2日目 8/3

7時に起床。ホテルのビュッフェで洋中折衷の朝食。さっそく動けないほど喰う。コーヒーをすすった後、のろのろとホテル内を探検。階上に屋外プールを発見。しかし日光が鋭すぎて泳ぐ気わかずに退散。

軽装で街へ繰り出す。最寄りのバス停からバスで台北駅へ。今日もうだるような暑さ。しかし旅人のやる気はまんまん。

台北駅から臺灣鐵路 (TRA) に乗って1時間ほど揺られ、猫の村「猴硐(ホウトン)」で下車。

猴硐は猫ちゃんがたくさんいる町で、駅舎の2階にある改札を出たところから、もうあちこちに猫ちゃんが寝ている。駅舎の1階には売店や屋台風の店があり、駅舎前の通りの脇や向こう側にも、少し寂れた観光地か海水浴場の近所にありそうな味のある土産物屋が並んでいる。

昔は炭鉱の町だったらしく、今は閉山して猫の村として町おこしをしている。土産物屋群の向こう側には広場があり、炭鉱やトロッコの跡があった。味のある廃墟感を漂わせていたが、屋外なのでとにかく暑い。

少し歩くと、猫グッズのショップや猫カフェもある。奥さんと娘がお店を冷やかしている間に、僕はひとりブラブラ散歩する。他の観光客の後に続いて高みへのぼる。


通路なのか家の一部なのかよくわからないところを歩いて行く。


どの猫ちゃんも警戒心がない。右手は一般のおうち。


高台からの風景。中国自動車道や阪和道のサービスエリアから見える景色に似てる。

妻子と合流し、大阪の田舎でおばちゃんがやってるお好み焼き屋みたいな風情の店で、マンゴーかき氷とチョコかき氷を食べた。その店の隣の日本語が達者なおばちゃんがいる土産物屋でお土産を買う。店の周辺にもあちこちに猫ちゃんがいたが、なにせ暑いのでみんな伸びてた。

再び電車に乗り込み、「十分(シーフェン)」へGO! 十分では、線路の脇にずらずらずらと多種多様な店が並んでいる。電車が来ない隙に線路上で空へ向かってランタンを飛ばすのが名物。どのガイドブックにも載ってるので写真は割愛。夜ならきっと美しい光景だろうと思うけど、まだ昼過ぎなので空を見上げるも真夏の晴天が目に刺さって辛かった。途中で黒糖タピオカミルクを飲む。「ティー」でないほうがうまい。もしかするとタピオカもいらんかも。

またまた電車に乗り込み、今度は「九份(チウフェン)」へ。到着した駅を出てバスに乗る。乗ったはいいが、どこで降りたらいいかわからない。すると、親切なおじさんが日本語で教えてくれた。日本人なのかどうかは定かでない。ヘビーリピーターかもしれないし、台湾おじさんかもしれない。バス停でバスを降りるなり、すごい人の群れ。流されるように進む。

有名な千と千尋的なアレへと続く細い道。両脇に所狭しと店が軒を並べる。その前を観光客が押し合いへし合いしながら漸進する。ゴールデンウィークの新世界ジャンジャン横丁や鶴橋商店街みたい。

奥さんと娘がタロイモだんごを食べている間に、またひとりでブラブラ散歩。


路地に入ると、さっきの喧噪がうそのように静かで、人もいない。


猫ちゃんはいた。

妻子と合流し、有名な建造物を見る。ライトアップされた建物は悪くない。しかし、視界の下半分はスマホを掲げる手がニョキニョキと入り込んできてる。その後、なんじゃかんじゃと買い込んで、バスとタクシーを乗り継ぎ、ホテルへ帰る。今日も夕食はさまざまな食料とビールを部屋でいただく。

 

3日目 8/4

朝食ビュッフェにて昨日の朝に食べ損ねた料理を胃袋に詰め込み、街へ繰り出す。

電車で西門へ。「西門」は街の名前。台北の渋谷らしい。台湾最古の市場建造物「西門紅楼」は赤レンガの外見が美しく、中もおしゃれ雑貨屋さんが並んでて楽しい。妻子がキャッキャ言ってるので、ひとりで外へ出る。


こいつ、なんだろう?


何かのお店の裏。味がある。


1つ裏の路地。味しかない。

妻子と合流して中山へ移動し、またうろうろ。アイスとか麺とかなんかいろいろ食べる。くいだおれ。

そして夜は寧夏夜市へ。臭豆腐の強烈な匂いに出迎えられる。ここも狭い通路の両脇にこれでもかと屋台が並ぶ。そして人の数がすごい。十日戎のときの新今宮駅周辺みたい。流されながら屋台で欲しいものを買うには引っ込み思案ではいけない。人間力が試されてる気がする。

うちの奥さんは僕と違ってこういうのに強い。英語も台湾語もひと言も話せないが、目指す屋台にぐいぐい突き進んで、欲しいものをどんどん買う。そして迷子になる。娘と必死に探して、謎の串肉を機嫌よくパクついている奥さんを見つける。奥さん機嫌いいのが家庭円満の必須要件。僕と娘はやれやれと顔を見合わせて合流し、みんなでいろいろ買い食いした。

今日も今日とて胃袋過積載で1日を終える。奥さんは「帰国したら1カ月は糖質ゼロ麺」と高らかに宣言するが誰も信用せず。日本に帰ってしばらくは台湾フードを求めてさまようはず。

 

最終日 8/5

最後の朝食ビュッフェもやっぱり食べ過ぎてしまう。お荷物をまとめてチェックアウト。すごく名残惜しい。

中正紀念堂に行こうと思ったけどあまりの暑さに断念し、再び台北101へ。涼しい。お昼は有名店の「鼎泰豊」で小籠包などをたらふく食べる。マンゴーかき氷と黒糖タピオカミルクも胃袋に収める。やはり展望台にはのぼらず。

スーツケースを転がしながら、台北駅へ移動し、地下街をうろうろ。沖縄観光誘致のイベントをやってて、浴衣を着た台湾ヤングが沖縄をアピールしてた。不思議な感覚。オタクやマニアのお店が並ぶ一画も冷やかす。

全身を満足感と満腹感でいっぱいにして、MRTで空港へ向かう。空港でも妻子は自分たちのためのお土産を買い込む。そのついでに職場や親戚のお土産も購入してる。僕は物欲ゼロ人間なので何も買わない。ついでに職場にも親にもなんにも買わない。んで、飛行機に乗り込む。台湾旅行が終わった。あっという間だった。本当にあっという間だった。レストランでも食堂でも屋台でも食すものすべてが美味しく、見るものすべてが楽しかった。

ただ食べて笑って寝る。そのすばらしさ、ありがたみ、そしてむずかしさ。

さよなら台湾、また来るね。それまでどうか、お元気で。