「シンポジウム2017 ~直訳と意訳の間で~」に参加してきました(庶務課、光留)。
正直なところ、ああいった場に翻訳会社の人間が出かけていくのは、私の方は問題なくても、翻訳者の方々にとってどうなのだろうという思いがありました。もちろん、私も会社の中では一介の翻訳者・レビューアーにすぎません。いわゆる「お仕事をお願いするかどうか」の意思決定には、(まったくというわけではありませんが)ほとんど関与していないのです。それでも、発注側の人間が紛れ込むことによって、自由な議論が妨げられたりすることもあるかもしれません。悩んだ末に、参加費用を自腹で支払い、私人として参加するという形で後ろめたさを誤魔化したのでした。
そんな次第ですから、特に告知等はしない予定でしたが、ふとTwitterを見ると、社長にバッチリ書かれているではありませんか。LINEで「絶対告知するなよ!、絶対だぞ!」と送ったのがいけなかったのかもしれません。それとも、最後に「(上島竜兵)」と付けたのが余計だったのか。訴えてやる!
もっとも、大学の大教室を1室埋めるあの大人数のなか、私を特定できる人などいるはずもなく。それはもう平穏に聴講を終えました。シャツは目立つ色をしていましたが、そもそも顔を知られていないのですから当然です。
ちなみに、知り合いも友人もいない私は、以下の図の「安全地帯」に陣取って、会場の様子をながめておりました。お近くに居た方、何か黄色いやつが私でした。
参加できなかった方で、内容が気になる方は、こちらのまとめがオススメです。twitterの引用という点で限界はありますが、どんな話があったかは感じていただけるものと思います。
翻訳フォーラム『シンポジウム2017』『大オフ2017』まとめ
上のまとめでも言及がありますが、私の方で印象に残っているのは、Q&Aコーナーの(たしか)第3問め。「調べ物でどうしてもわからないことが出てきたらどうするか」という質問に対して、「質問できる人脈を持っておく」という回答があったことです。
こういう考え方ってすごく大事ですよね。何か疑問があるときは、自分で何もかも調べてみるよりも、その道の信頼できる人に聞いてしまった方がずっと早く、正確だったりするものです。人に何かを聞くのを遠慮してしまう人も多いと思いますが、「聞くのが申し訳ない」と思わないレベルの人間関係を構築すれば解決するわけです。それに、翻訳は成果物の世界です。人間関係をその水準まで高めることができれば、それも翻訳の実力の一部だとさえ言えるでしょう。
特に地方にお住まいの方は、人間関係の重要性が都市部の方よりも大きくなるのかもしれません。
結婚して東京を出て思うのは、調べ物がちょっと不便になったということです。東京にいた頃は、わからないことがあれば会社帰りにちょっと途中下車してやるだけで、すぐに大型書店にアクセスできました。そして、関係のありそうな本をパラパラとめくり、使えそうなものがあったら金にモノを言わしてやる。これで、人間関係がなくとも何とかなったのです。ところが、地方だとそうはいきません。私の場合であれば、週末に片道1時間ほどかけて静岡駅まで行くのが精一杯です。もちろん、今はAmazonさんをはじめとする通販サービスも、インターネットもあります。過去に比べれば、グッと便利になっているのでしょう。それでも、東京にいた頃よりも不便なのは間違いありません。本よりほかに頼るものがあれば、どれほどよいでしょう。
そう考えていくと、何か互助会・勉強会的なものを作りたくなってきますね。静岡、名古屋あたりで(もちろん東京でもいいのですが)。
・主催者が翻訳会社の人間であっても構わない
・勉強会みたいなものには参加してみたいけれども、既存のコミュニティに入る勇気はない
・私くらいの人が参加してよいのかしら、などとついつい考えてしまう
そんな方がいたら、一緒に何かしたいものだと、帰りの新幹線の中で夢想しておりました。Facebookの友人も11人しかいないのに。