たまには役に立つことも書きたいと思い立ち、こんなことを書いています。
文章構成ツール、Just Right!をご存知でしょうか。ざっくり言うと、日本語の誤字脱字や表記ゆれを検出してくれるツールです。こちらのレビューにもあるとおり、誤字脱字の検出精度には若干の難がありますが、表記ゆれについてはめっぽう強い。
複数の翻訳者さんからの納品物を取りまとめることの多い立場にある私も、個人的に愛用しています。
ところがこのツール、1つ難点がありまして。バイリンガルファイルにそのまま使うことができないのです。xlz、xliff、sdlxliff、mxliffなど、IT翻訳でよく目にすることになる拡張子のファイルだと使えません。今回はこの問題を少々強引に解決する方法をご紹介します。
まずはこんな原文ファイルを用意しました。Wikipediaの記事を引用したHTMLです。
これをTrados Studioで翻訳しました。
もっとも、Trados Studioであれば
- 「訳文のみで保存」をして訳文のみのテキストファイルを作る → Just Rightをかける
- 訳文セグメントをドラッグして全部コピーし、Wordなどに貼り付ける → Just Rightをかける
といった方法でも問題ありません。しかし、今回ご紹介したいのは、訳文ファイルへのバックコンバートなどができない類のツールの場合でもJust Rightを使うための方法です。
使うのはXbenchです。
「Project」>「New」>「Add」で、読み込みたいファイルの形式を選択してください。今回はStudioなので、「Trados Studio File」を選択します。xlz、xliff、mxliffなどは全部「XLIFF File」で問題ありません。memoQやIdiomは専用の項目がありますので、そちらを選んでください。
読み込みが済んだら、「Tools」>「Export Items」を選択します。これは、読み込んだ諸々のファイルを別の形式でエクスポートするための機能です。
以下のようなウィンドウが開くので、「Format」に「XLSX Excel File」を選んだ後、緑色の丸で示したボタンをクリックし、ファイル名と保存場所を選びましょう。
「OK」をクリックすると、できあがったファイルが置いてあるフォルダーが開きます。早速ファイルを開いてみましょう。
中身は以下のような対訳ファイルです。日本語はB列だけなので、B列を全選択して「JustRight」>「選択範囲を校正実行」をクリックすると、校正を実行できます。
無事、表記ゆれが1件検出できました(「強硬」や「一九三〇」は検出されませんでした。残念)。
ちなみに、タグが邪魔なときは、B列の内容をテキストエディターなどにコピーしてから、正規表現を使って取り除いてあげると良いです。きれいになったテキストファイルをJust Rightで読み込むなり、Wordに貼り付けるなり、色々できます。
なお、この話に特にオチはありません。この記事の執筆に要した時間は約30分。その後オチに悩んだ時間が25分。さすがに、オチの検討に内容以上の時間をかけるのはどうかと思った次第です。深くお詫び申し上げます。