毎月末になると、最上階にいる大家さんに直接家賃を持参せねばならぬ家に住んでいます。このご時世に。(庶務課、光留)
面倒といえば面倒なのですが、駅から5分のコンクリ物件、2Kの間取りでは考えられない安さであることを思えば、まぁ我慢もしようというもの。おまけに、「貴方とは他人という感じがしないわ(※1)」と、めぞん一刻じみたことを言われてしまえば、もう当分住んでもいいかしらという気にもなるわけです。ただ、こちらの響子さんは私の 1.5 generation くらい上なのが残念でなりませんが。
さて、そんなこんなで、この一刻館の住人になって3年になろうというくらいのときのことです。いつもどおり家賃を支払いに響子さんのもとに行くと、「引っ越しをしないか」という話を持ちかけられました。
いわく、このエレベーターもない建物の最上階まで登るのが辛くなってきたので(※2)、私の使っている1階のお部屋を譲ってくれないかと。ちょうど同じ間取りの部屋が3階に空いているから、そこを同じ家賃で使わないか、とおっしゃるのです。
悪い話ではありませんでした。1階のお部屋といえば、エアコンは National、目の前は駐車スペース、お隣のご夫婦は夫が深夜0時にお風呂で綾小路きみまろを聞くときたものです(※3)。これに対して3階は。片方のお隣は不在、エアコンは新しい、目の前は高い建物もなく日当たり良好。ついでに虫も減ります。すぐに承諾の返事を出しました。
それから、この3階に住み始めてもうすぐ10か月くらいになるでしょうか。私にはひとつ、気がかりなことがありました。
・・・ずっと、お隣さんにごあいさつをせずにいたのです。
完全にタイミングを逸しました。「隣に引っ越してきました。よろしくお願いします」というのはやっぱり、引っ越した当日にやりたい。とは言うものの、今回は1階から3階への移動。荷物は少しずつ動かしていきました。1か月くらいは、1階も3階もどちらも使って生活したようなものです。このため、「よし、今日からここが私の住所だ」というポイントがはっきりしないまま、いつの間にか新しい暮らしを始めてしまっていたのです。
ところが先日、ついに鉢合わせてしまいました。階段を上がったところでした。比較的若い女性でした。「こんばんは」を生まれて初めて噛みました。
…それが、今回のタイトルというわけです。
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※1 誕生日が同じだからです。
※2 めぞん一刻で想像している方、ご注意ください。こちらの響子さんはおばあさんです。
※3 苦情を入れたら止みましたので、引っ越してほんの数か月の話ですが。