いやー、やっと式を終えました。「やっと」といっても、3か月しか準備していませんが(庶務課、光留)。

 

「式の準備に時間をかけるくらいだったら早く一緒に暮らし始めた方がいいよね」という私達夫婦の意向に、「できれば小規模に」という新郎両親サイドの希望を取り入れた結果(※)、準備期間わずか3か月にて、親族のみの小規模な結婚式および披露宴(食事会)がとり行われることになったのでした。

結婚式というと、もっと色々打ち合わせやらリハーサルやらあるものと思っていたら、美容関係(着物選び)も含めてたった3回で済んでしまうのですね。その結果、一応「式次第」が書かれた紙を事前にもらっていたとはいえ、ほぼぶっつけ本番で式に臨むことになりました。もっとも、新郎新婦の後ろには常に付き添いの人がおり、「ここで一礼お願いします」といったようなことを随時教えてくれていたので問題ありませんでしたけれども。

 

ただ、曲者が潜んでおりましてですね。「植樹の儀」といって、式の最中に二人の幸福を願って苗木を植える、という催しがありました。向かい合う新郎新婦の目の前に、苗木を入れる鉢と土の盛られた器が置かれ、新郎が片手で苗木を支えている間に、二人でそれぞれ3回ずつ、鉢にスコップで土を入れていくという流れなのですが。

もう、2回土を入れたくらいの時点で危険な香りがしてくるわけですよ。

 

土、足りなくない? と。

 

たとえるなら、「君、半身浴してた?」くらいの浅さ。仮に二人であと1回ずつ土を入れたとしても、とても独り立ちなどできないであろう手応え。スコップは小さく、ここから一発逆転の特盛りなど不可能な絶望感。おまけに、土もサラッとしている。

しかし、これは二人の幸福を願った木なのです。いわば、我々夫婦の門出を象徴するもの、いや、私達二人の間でこれから始まる新生活そのものと言ってよいはずです。まっすぐに立たねば縁起が悪いではありませんか。

もう、行くしかない。私は意を決して、15年以上にわたり腕立て・腹筋・シャドーボクシングで鍛えぬいた筋肉のすべてをもって、それはもうグッと、新生活を鉢にねじ込みました。

 

倒れるな、まっすぐに立て、まっすぐに、いやむしろ、マッスルに

 

そして、申し訳程度しかならない第3回目の土を盛り、そっと手を離すと、心もとないながらもなんとか自立する私達の新生活。クララが立った時ってこんな気持ちなんですね、きっと。

・・・しかし、悪い予感は当たるもの。式が進み、比較的厳かなタイミングになると、まるでそれを見計らったように、コツンと倒れる私達の新生活。クララのバカ!甲斐性なし!

私達は、さながらピサの斜塔のようになった新生活の野郎を尻目に、笑うまい笑うまいと、プルプルしながら残りのプログラムを終えたのでした。

 

というわけで、最後になりましたが、これから植樹の儀をされる皆様におかれましては、「土は多めに盛られよ」との言葉をもって、祝辞とさせていただきたいと思います。お二人のクララが無事立ちますことを、心よりお祈り申し上げます。本日は誠に、ありがとうございました。

続き

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(※)新婦ご両親サイドの希望がないのでは?と思った方へ。新婦ご両親のご希望は「娘のウェディングドレスを見たい」というものでした。こちらは新婦の「式は和装がいい」との希望とマッチしなかった関係で、翌日にウェディングドレスで写真撮影をするという方向に落ち着きました。普通は「前撮り」などと呼ぶアレですね。私たちの場合は「後撮り」ですが。