川津です。道端のコケを拾って育てたら色々と発見がありました。ツッコミはどうかお収めください。仕事はしてるんです。ほんとです。
デスクに植物が欲しいなと思ったんです。
しかし、ほとんど日が差さないオフィスのこと、蛍光灯だけで健康に育ってくれる植物は多くありません。というか、ほとんどありません。モヤシ状態になるまで伸びきってもイイと割り切るなら選択肢は広がりますが、自分はそこらへん気になってしまうたちで、社長にもずいぶんダダをこねています(これ以上の観葉植物の導入を渋る一社員)。
暗所に耐えられる植物といったらコケ・シダ類しかありませんので、ダメモトで道端のハマキゴケだのホソウリゴケだのと思しきやつをごそっと頂き、小さなお椀型の容器に入れてデスクに置きました。まだ数週間しか経っていませんが、ちょっとした放置系実験です。放置ですから仕事はしています。大丈夫です。
雑貨屋などで、密閉したガラス瓶の中にもさもさしたコケを生やして売っていたりしますが、あちらは多湿な環境が必要な種類です。一方で道端のアスファルトのコケは、容易に想像がつく通り定期的にカラカラに乾くし、直射日光も数時間ほどなら浴びる、そんな生活を送っています。ですのであまり蒸らさず、朝夕2回の霧吹きをメインに、定期的に乾かす感じ……で、今のところ管理中です。いいかどうかはまだわかりませんが、少なくとも水浸しにして密閉していると枯れるようです。
さて、発見というのは、じつはコケのことではありません。
主役は、数日たってからニョキニョキ生えてきた、背丈5mm未満、葉っぱも1mm四方未満の小さなふたば達、そう雑草のタネなのです。
これが気付いたら数十本に迫ろうかという本数でニョキニョキ、ニョキニョキ……。なぜこんなに急に? 発芽条件がそろったのでしょうが、何? 温度? 水? 明るさ? 疑問は次々と出て来ましたが、とにかくこのまま育ったら、いずれコケの上に葉を展開し、蛍光灯のなけなしの光を遮り、コケを栄養失調に追い込むであろうと思われました。
どうしようかな、もともとそんな生えている場所じゃなかったのに何でオフィスでは生えたかな、いずれ全部抜くかな、と思いながら数日がたったころ、そのふたばは川津の手により、思いがけずあっという間に全滅しました。
何をしたか? 日に当てたんです。そうですねぇ大体1時間くらいです。窓ガラス越しの日光に、昼休みの間だけ。1時間ほど。
昼休みから帰ってくると、青々していたはずのコケがチリッチリに乾いていました。これは道路などで見慣れた光景。しかし同時に、糸くずみたいになってチリッチリに乾いているふたば達の姿もあったのです。
ふたば全滅。日光の力を思い知りました。そしてコケの底力も。コケは、いくらチリッチリに乾いても、水をかければそこから復活します。実際、普通に復活しました。対して、雑草のふたばはもう生き返りません。
さすがのコケでも温度だか乾燥期間だかの限界はあると思うんですが、それにしても通常の植物と比較して驚異的な性能と言っていいでしょう。
しかし私は知っていました。ふたばはこれからも次々に出てくるということを。
なぜって雑草は発芽時期が揃わないからです。芽吹きも開花も結実も、常に時間差で行うことで、運悪く悪条件に当たった際の全滅リスクを彼らは回避しているのです!
そして小さな全滅事件から数日、数はやや減ったものの、またふたばがニョキってきました。一体どれだけの種が潜んでいたのだ。これもまた日光を当てれば消えてしまうのでしょう。はかない。
(ふたば第2段の証拠写真)